食品ロス問題、法制化で変わるフランス社会の意識《公式》

大塚和成です!!

 今月は食糧問題や飢餓について考える「世界食料デー月間」です。日本では、年間およそ640万トンの食べ物が食べられずに廃棄されています。世界的な課題になっている「食品ロス」ですが、フランスではさまざまな取り組みが社会を変えつつあります。

 パリの高級ホテルにあるミシュランガイド一つ星に輝く地中海料理レストラン。シェフのシモーネ・ザノーニさんは、常に食材を無駄にしないことを心掛けています。

 「リサイクルのためのごみ箱があるんですよ。ほらあそこに。スープをとった鶏ガラですね。これで堆肥を作るんです」(シモーネ・ザノーニさん)

 余った食材や食べ残しで堆肥を作り、レストランの畑で使っています。作った堆肥で野菜を育て再び食材に。食品ロスを防ぐためにあみ出した、いわばザノーニさんなりの「食物連鎖」です。

 「目標は無駄ゼロです。私の店では、来年までに食品ロスゼロを実現するつもりです」(シモーネ・ザノーニさん)

 年間およそ1000万トンの食品が捨てられていたフランス。政府は2025年までに食品ロスを半分に減らす目標を掲げていて、2年前、大型スーパーなどが食品を廃棄することを法律で禁止しました。

 「こちらの倉庫には、パリ近郊のスーパーから集められた食品がずらりと並んでいます」(大八木友之記者)

 店頭で販売できなくなった食品は、フードバンクなどを通じ生活が苦しい人たちに支給することが義務付けられました。

 「これだけでは生活できないけど、だいぶ助かるよ」(支給を受けた人)

 しかも、単に法律で食品の廃棄を禁じただけではありません。実は、店や企業が食品を寄付すると、税金の控除が受けられるようにしたのです。寄付した量で控除される税額が決まるため、重さを計って記録し、税務署に申告します。控除率は食品の原価の最大6割です。

 このスーパーでは年間2000ユーロ、日本円でおよそ26万円が控除されているといいます。

 「経済的にも環境的にもメリットがあります」(スーパーの店長)

 さらに、消費者もお得に食品ロスを減らす取り組みに加わっています。フランスで300万人が利用するこのアプリ。店が売れ残りを予測しアプリに割安で商品を掲載、お客が端末上で購入し閉店間際に受け取るというサービスです。

 1年半前に加入したパリの惣菜店では、この日、通常13ユーロ分の惣菜を4ユーロで売り出し、完売していました。

 「質が高いものを安く食べられます」(アプリ利用者)

 法律の整備を政府に強く働きかけた食品ロス対策の第一人者は・・・。

 「法案を作り、義務化したことで、みんな努力するようになり、すぐに効果を実感できました」(アラシュ・デランバーシュさん)

 ルールを作り、社会の意識が変わったフランス。日本も学ぶところが多いのではないでしょうか。

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